僕の音楽遷移は、メロコア、エモコア、スクリーモ……という流れだったが、ここでついに「メタル」へと辿り着く。この後は、ポストロック、ポストハードコアへと流れ、今に至る。
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MAメタル:Killswitch Engage
メタルには様々なサブジャンルがあるが、今回紹介するKillswitch Engage(キルスウィッチ・エンゲイジ)は「MAメタル」と呼ばれている。MAは”Massachusetts(マサチューセッツ)”の略。サウンドはハイゲインでモダンだが、一般的なメタルコアとの違いは、ここぞという時にドラマティックなメロディを唄い上げるボーカルスタイルだろう。どこかエモーショナルで心に響くメロディが多いのが特徴だ。
だからこそ、エモコアを通ってきた僕が、後に紹介する『My Curse』でハワードのボーカルを聴いた時、度肝を抜かれたのは必然だったのかもしれない。
ジェシーとハワード、二人のフロントマンが紡ぐ歴史
今紹介したハワード・ジョーンズは、Killswitch Engageの2代目ボーカリストだ。初代(そして現)ボーカリストはジェシー・リーチ。当然ファンの間では「どちらが真のKillswitch Engageか」という論争が起こるわけだが、彼らは違った。
ジェシーとハワードは互いをリスペクトし合っている。ハワードからジェシーにバトンを戻した後、アルバム”Atonement”収録の楽曲でハワードがゲスト参戦するという、胸が熱くなる展開を見せてくれた。
『My Curse』から彼らの世界に入った僕としては、どちらの時代にも魂を揺さぶる名曲があり、到底優劣などつけられないと思っている。
Killswitch Engage Vocalist Timeline
| Album Titles | Release Years | Vocalist |
| Killswitch Engage | 2000 | Jesse David Leach |
| Alive or Just Breathing | 2002 | Jesse David Leach |
| The End of Heartache | 2004 | Howard Jones |
| As Daylight Dies | 2006 | Howard Jones |
| Killswitch Engage (2nd) | 2009 | Howard Jones |
| Disarm the Descent | 2013 | Jesse David Leach |
| Incarnate | 2016 | Jesse David Leach |
| Atonement | 2019 | Jesse David Leach |
運命を変えた『My Curse』と、未知なる「ドロップC」
僕が初めて聴いたのは、アルバム”As Daylight Dies”に収録された名曲『My Curse』だ。
僅かな歪みを含んだクリーントーンのアルペジオから始まり、唐突に鳴り響く重厚なサウンド。その後に展開されるギターリフが、とにかく最高にクールなのだ。リフと4つ打ちのバスドラが鬼気迫る印象を与え、そこにベースとドラムが合流する。シンプルなドラミングだが、このリズムこそが最適解だと思わされる。
脳を侵食する「呪い」との共存――『サイバーパンク2077』と名曲「My Curse」
この「激しさと悲哀」が同居する音響体験は、強烈な情景を脳内に描き出す。僕がこの曲に重ねてしまうのは、『サイバーパンク2077』の主人公・V(ヴィー)と、彼の脳内を侵食するジョニー・シルヴァーハンドの姿だ。
逃れられない死へのカウントダウンという「呪い(Relic)」。一つの身体の中でぶつかり合い、やがて奇妙な共犯関係へと変わっていく二人の精神の軋轢は、まさにハワードのソウルフルなクリーンボーカルと、切り裂くようなスクリームの激しい掛け合いそのものだ。ネオンが妖しく光るナイトシティの退廃的なストリートを、絶望と怒りを抱えながら駆け抜けるVのバックには、この『My Curse』の重厚でエモーショナルな轟音こそが最もふさわしい。
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当然、このサウンドを聴いたら僕もギターを合わせたい。愛機のSGを手にコピーを試みるが、どうやらドロップチューニングのようで、ドロップDまで下げてもまだ音が合わない。メタル素人の僕は、この時初めて「ドロップC」という存在に出会った。
調べてみると、メタル界隈ではドロップCは割とレギュラーなようだった。当時、僕はアーニーボールの10-46(蛍光イエロー)を愛用していたが、ドロップCだと弦がベロンベロンで心許ない。そこで10-54(蛍光オレンジ)というメタル向きのゲージへ張り替えた。
ギターのテクニックはイマイチな僕だが、ドロップCにしたSGで『My Curse』のリフを合わせた瞬間は、最高にゴキゲンだった。
ちなみに、ギタリストのアダムはCaparisonのギターを使用し、アンプはKemper Profiler StageとMesa/Boogieのキャビネットを組み合わせている。さらにアンプの前にオーバードライブを繋ぎ、低音を極限まで引き締めるのが彼らのアプローチだ。これこそが、あの「モダンの正体」なのだろう。
Killswitch Engage’s Metalcore Pioneers – Premier Guitar
リフを合わせると最高な「僕のオススメ」
- 『Self Revolution』”Alive or Just Breathing”
鋭いギターサウンドから始まり、リズミカルなリフでボルテージが上がる。サビのジェシーのボーカルが心に突き刺さる。
- 『The Element of One』”Alive or Just Breathing”
序盤の叙情的なクリーンサウンドが印象的。静と動を使い分けた展開がドラマチックで、ラストのサビ前の変調はコード進行が最高に盛り上がる。
- 『Rose of Sharyn』”The End of Heartache”
重厚すぎるリフに圧倒されていると、ハワードの熱いボーカルが炸裂する。サビへのコード進行の持って行き方はまさに職人芸だ。
- 『Breathe Life』”The End of Heartache”
暴力的なドラムから疾走感あふれるリフが腹に響く。これぞドロップCの重低音。確実にライブで盛り上がる一曲。
- 『In Due Time』”Disarm the Descent”
コピーしたくなるドラマティックなリフ。サビのジェシーのボーカルが叙情的で美しい。
- 『Turning Point』”Disarm the Descent”
ドロップCを遺憾なく発揮したコード進行。メタルならではの突き抜けるピッキングハーモニクスも心地よく、パワフルな歌唱とシャウトの対比が素晴らしい。
他にも名曲は尽きないが、僕の中の「ベスト」は以上の通りだ。
ただ、この記事を書いていて一つだけ残念だったことがある。
Killswitch Engageのメンバーが愛用しているのは、アーニーボールではなくダダリオだという事実。アーニーボール以外あり得ないと思い込んでいたが、自分の中の「凝り固まった考え」を思い知らされる結末となった。
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