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⚠️ 【微ネタバレ注意】 本記事では、作品のテーマ上『ベイグラントストーリー』の核心(エンディングの描写)に触れています。 未プレイの方で、結末を伏せておきたい方はご留意の上お読みください。
魔都『レアモンデ』。26年色褪せない廃墟の美学
僕の音楽の旅路は、メロコアからメタルを経て、現在は「ポストロック」という静寂と轟音が共存する世界に辿り着いている。
今回、記念すべき10記事目に選んだテーマは、僕の感性の根底にある伝説的ゲーム『ベイグラントストーリー』だ。 20年以上前の古い作品ではあるが、これまで本ブログで取り上げてきた「廃墟感」や「ポストロック」との親和性が極めて高く、僕のルーツを語る上で避けては通れない。
『ベイグラントストーリー』は、2000年にスクウェア(現スクウェア・エニックス)から発売されたアクションRPGだ。 国家、宗教、騎士団が複雑に絡み合う重厚なダークファンタジーである。
主人公アシュレイ・ライオットは、新バレンディア王国の治安維持騎士団『VKP』に所属する「リスクブレイカー」。 いわゆる汚れ仕事を請け負う孤高の戦士だ。 彼はある任務を受け、カルト教団『メレンカンプ』を追い、呪われた魔都『レアモンデ』へと単身乗り込む。
本作最大の魅力は、この『レアモンデ』という空間そのものにある。
すでに人は去り、静まり返った廃墟。 朽ち果てた石畳、壁を覆う苔の色味、差し込む光の表現は、今の目で見ても息を呑むほどに美しい。 映画的なカメラワークがその「廃墟の孤独」を際立たせ、プレイヤーを深く没入させる。 (ちなみに、この美しい街並みのモデルはフランスのサンテミリオンだと言われている。)
放浪者の末路。アシュレイ・ライオットが選んだ「影」
魔都での過酷な戦いを経て、アシュレイは「魔」と呼ばれる人知を超えた力、そして教団のシドニーや法王直属騎士団との邂逅を果たす。 やがて彼は、強大な力による支配を阻止するため、自らが「魔」の受け皿となる決意をする。
人間を超越した不死の存在――「ダークヒーロー」となったアシュレイ。
エンディングで映し出される彼は、組織の枠からも、光の世界からも外れ、独り影として生きていく道を選んだように見える。 当時、子供だった僕にはその真意が図りかねたが、大人になった今改めて見ると、彼の「寂しくも揺るぎない決意」を秘めた表情に、胸が締め付けられる。
特にスタッフロールで流れる楽曲『staff roll』の、寂しくも美しいピアノの旋律は、彼の生き様そのものを象徴している。
『All Is Violent, All Is Bright』が描く、もう一つの情景
アシュレイが自ら「魔」を受け入れたあの瞬間。 僕はあの静かな、しかし確かな覚悟を、ポストロックバンドGod Is An Astronautの名盤”All Is Violent, All Is Bright”の表題曲、『All Is Violent, All Is Bright』の展開に重ねずにはいられない。
この曲の構成は、まさに『ベイグラントストーリー』のエンディングと共鳴する。
序盤:静寂と滅び スペーシーなシンセと高音がブーストされた硬いアルペジオが、レアモンデの滅びゆく情景を叙情的に描き出す。
中盤:重くのし掛かる運命(1:07~) リズム隊が参加し、力強く刻まれるリズムに転じる展開は、シドニーの最期と「魔」が終焉へと向かう緊迫感を見せる。

終盤:影の中の輝き(3:12~) ラスト、希望を含んだ疾走感あふれる旋律が広がる。 それは、誰の管理下でもない「影」として歩き出したアシュレイの行末を、優しく照らしているかのようだ。
魔都『レアモンデ』の静寂と轟音を直挿しで再生する『Sennheiser HD 599』
アシュレイが一人で彷徨う呪われた魔都『レアモンデ』。この人が去り静まり返った廃墟の空気感と、God Is An Astronautが空間系エフェクターやHiwatt、Orangeのアンプで作り出した静寂と轟音を極限まで引き出すなら、開放型ヘッドホン「Sennheiser HD 599(およびHD 599 SE)」が最適解である。
AKG K712 PROやHD 650などのハイエンド機は、高価なアンプ(DAC)がなければ本領を発揮できない。しかし、HD 599はインピーダンス50Ωという仕様により、スマートフォンやPCに直挿しするだけで、この絶望的に美しい音の空間を100%鳴らし切ることが可能だ。
① E.A.R.テクノロジーで広がる「呪われた魔都の空間」
HD 599の「E.A.R.テクノロジー」は、ドライバーユニットを耳に対して僅かに傾けて配置するゼンハイザー独自の設計である。音が耳元に平面的に張り付かず、斜め前方から自然に響くため、圧倒的な奥行きと立体的な空間表現が生まれる。序盤のスペーシーなシンセサイザーが、レアモンデの朽ち果てた石畳や苔むした壁の向こう側から響いてくるような、極めてリアルな空間の広がりを体感できる。
② メッシュ構造が吸い込む「BigSkyの深淵なリバーブ」
計算し尽くされたオープンバック(開放型)のメッシュ構造は、不要な音の波を淀みなく外へと逃がす。音が一切こもらないからこそ、strymonの『BigSky』が描く深淵まで広がるようなリバーブが、廃墟の静寂の中にスッと消えゆく余韻を完璧に再現できるのである。光の世界から外れ、独り影として生きていくアシュレイの孤独を、この「空気の抜け感」が痛いほどに際立たせる。
③ 軽量アルミボイスコイルが捉える「HiwattのクリーンとOrangeの歪み」
微細な電気信号への反応速度(トランジェント特性)に優れた自社開発の軽量アルミボイスコイル。これが、序盤の高音がブーストされた硬いアルペジオ(Hiwattの澄んだクリーン)から、中盤以降の重く力強いリズム隊(Orangeの高品質な泥臭い歪み)へ展開する瞬間を、一切ボヤけさせることなく捉えきる。繊細なタッチから呪いのような轟音の壁まで、正確な定位感で鼓膜へ届けてくれるのである。
26年色褪せない廃墟の美学と、ポストロックの轟音。HD 599のオープンな空間表現と極上の静寂は、煩わしいアンプなしの直挿しで、アシュレイが選んだ孤独な影の道を完全に再現してくれる。魔都レアモンデの空気とGod Is An Astronautの旋律を最高純度で浴びるための「最初で最後の1本」として、強く推奨する。
おわりに
今回は、20年以上経っても僕の心に残り続ける『ベイグラントストーリー』を振り返ってみた。
今はプレイ環境を整えるのが少し難しいタイトルではあるが、今でも色褪せない綿密な世界観の構造を、知らないままでいるのは少し勿体ない。 僕個人としてはリメイクを強く望んでいるし、コアなファン層からも同じ声は絶えない名作だ。
光を背にして生きる道を選んだアシュレイの孤独に想いを馳せた後は、ぜひ高音質な環境でGod Is An Astronautの旋律に身を委ねてみてほしい。
この物語と音楽が織りなす「情景」に触れて、もし深く共鳴してくれる人がいたら、ぜひ教えてほしいと思う。
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