1995年、僕の聴覚を完全に書き換えた一枚がある。コンピレーション・アルバム『Far East Hardcore』だ。当時高校生だった僕が、このアルバムの激流に飲み込まれてから、僕のハードコアライフは始まった。
参加バンドは全部で10。その中には、僕が別の記事でも深く掘り下げている「envy」の姿もある。ただし、あの静謐なポストロックの姿ではない。「BLIND JUSTICE」名義で、非常に攻撃的で研ぎ澄まされたハードコアを叩きつけていたのだ。
さて、90年代ジャパニーズ・ハードコアを代表するこのマストアイテムを起点に、僕がどうしても語らねばならないバンドがある。「Switch Style」だ。
今回紹介するSwitch Styleの音源は、残念ながら現在音楽配信サービスでは聴くことができない。この音の渦に触れるには、今なお市場に出回る希少なCDを探し出す必要がある。
決して容易ではない道のりだが、かつての熱狂を肌で感じるための『宝探し』だと思って、ぜひ中古ショップや通販サイトを覗いてみてほしい。今の時代だからこそ、この手のアナログな体験には、ネット配信にはない特別な価値があるはず。
Switch Styleのインパクト
彼らの名前を出す時、避けて通れないのはその特異なキャリアだろう。超有名人となった前澤友作氏がドラムを叩いていたことは、もはや伝説だ。しかし、当時の僕たちが痺れていたのは、そんなバックボーンではない。あのVAアルバムで存在感を「カンカン」と乾いた硬質な音で響かせた、ピッコロスネアのリズムそのものだった。
『Away』のイントロ、ボーカルの吐息の後に響くYOU X SUCKのドラム。あの鋭く突き抜ける音色は衝撃で、バンドを組んでいた当時の僕が「この音を再現したい!」と本気で苦悩したことは、今となっては懐かしい思い出だ。そして続く『For myself』で、YU-RIが放った叫び。ストレートにカッコいいと背筋が震えた。当時の僕のニーズを、これ以上ないほどに満たしてくれたのが、この『Away』から『For myself』への流れだった。
Switch Styleのスイッチング
衝撃はその後も続いた。アルバム『…TO INFINITY』を手にした時のことだ。僕が当時至高と思っていた「2ビート」や「ピッコロスネアの乾いた音」はそこになく、太いスネアの重厚な音に変わっていた。好みではないはずだったのに、なぜか僕の耳は釘付けになった。
『IN SEARCH OF COVER』で聴こえた、それまでとは違うテクニカルな音使い。そして後半、YU-RIがFar East Hardcore時代のような鬼気迫る叫びを魅せたとき、僕は完全に彼らに握られた。特に『LIGHT AND SHADE』は圧巻だ。イントロのギター単音から始まり、うねるベースがグルーブを生む。中盤から解き放たれるYU-RIのボーカルには、カタルシスと呼ぶべき「光と影」を感じたんだ。
さらなるスイッチング――「METRONOME」という名の進化
誰もが驚いたアルバム『METRONOME』。ハードコアから完全にエモーショナルロックへと変貌を遂げた彼らに、当時のキッズは戸惑った。賛否両論、いや、否のほうが多かったかもしれない。僕たちの中には「ハードコア以外は認めない」というアナーキーな美学があったからだ。裏切りに近い感情を抱いたファンも多かった。僕も、その一人だったのだから。
しかし、今ならわかる。これは裏切りではなく、音楽家としての「必然の進化」だった。
『1975』で見せたあの唯一無二の浮遊感。フランジャーが効果的に使われた『Soul』の繊細な音使い。数年を経て聴き返した時、やっと理解ができた。音楽は、止まることなく進化し続けるのだと。
Switch Styleという存在
メンバーそれぞれが独自に進化した「Style」を見せつけてくれた彼ら。とはいえ、僕の青春にSwitch Styleがいたことは、誇り高い事実だ。
彼らの音楽は、今も僕の中の記憶を鮮明に蘇らせる崇高な存在として、色褪せることなく響き続けている。
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