信仰の残骸と2500年の重圧――『アサシン クリード オリジンズ』大ピラミッドに響くバンド・アイシス(Isis the band)の轟音

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信仰の残骸と2500年の重圧。アサシンクリードオリジンズの大ピラミッドに響くISIS The Bandの轟音。 Music × Game

紀元前49年のエジプト。プトレマイオス朝末期の動乱の中、メジャイであるバエクが歩む砂の海には、すでに「失われた古代」の空気が漂っている。 我々現代人から見れば、バエクの生きた時代も遥か昔の歴史だが、彼自身にとっても、眼前にそびえ立つクフ王のピラミッドは「2500年も前に建造された、手の届かない過去の遺物」なのだ。

クフ王のピラミッド頂上から見渡すとカフラー王のピラミッドが一望できる。
クフ王のピラミッド頂上から見渡すとカフラー王のピラミッドが一望できる。

ヘレニズム文化が流入し、変わりゆく世界の中で、古き信仰と「マアト(真理)」に縋るバエクの孤独。この途方もない時間の重圧と、滅びゆくエジプトの栄華に重ねるべき音は、一つしかない。 ポストメタルの開祖、バンド・アイシス(Isis the band)が鳴らす重低音である。

バエクが見上げた「2500年前」の幻影

ゲーム中、バエクを操作して巨大なピラミッドの麓に立った時、プレイヤーはその圧倒的なスケールに息を呑む。 アレクサンドリアの街がギリシアの神々や新しい文化で彩られていくのに対し、砂漠の奥地に鎮座するピラミッドは、死生観そのものが石化したような異様な存在感を放っている。 バエクは、すでに信仰が風化しつつあるこの巨大な墓標を見上げ、何を想ったのか。そこにあるのは、どれほど手を伸ばしても決して蘇ることのない、古きエジプトの幻影である。

アレクサンドリアの街から見える世界七不思議のひとつアレクサンドリアの大灯台。実際にはこのように見えたのだろうか。
アレクサンドリアの街から見える世界七不思議のひとつアレクサンドリアの大灯台。実際にはこのように見えたのだろうか。

暗殺教団の起源と、バンド・アイシス(Isis the band)の共鳴

ここで、バンド・アイシス(Isis the band)という稀有な存在について触れておきたい。彼らの初期作品は「暗殺教団」をコンセプチュアルなテーマとして扱っていた。 アサシン教団の前身である「隠れし者」を創設し、歴史の影で最初の刃を振るったバエク。最古の建造物であるピラミッドの闇に潜む彼こそ、このバンドの轟音を背負うに最もふさわしい「始祖」であると断言できる。

『Dulcinea』――手の届かない栄華とピラミッドの質量

彼らの名盤『In the Absence of Truth』に収録された楽曲『Dulcinea』。このタイトルは、ドン・キホーテが妄想した「実在しない完璧な女性(手の届かない幻影)」を意味する。 バエクが追い求める古き良きエジプトの姿もまた、すでに砂に埋もれた「ドルシネア」なのだ。

この楽曲が放つ、アーロン・ハリスのツインペダルとフロアタムが入り乱れるトライバルな(民族的な)連打と、泥のように重いベースライン。一つ2トン以上ある石材が何百万個も積み上げられた、ピラミッドの「暴力的なまでの物理的質量」そのものを音として体現している。 一歩足を踏み出すごとに、その重圧がプレイヤーの耳と精神にのしかかってくるのだ。

大回廊の暗闇へ。フランキンセンスの香りと轟音のカタルシス

ピラミッドの内部、大回廊の暗闇へと潜っていく。 たいまつの炎が揺れ、ひんやりとした石壁に囲まれた閉鎖空間。そこに漂うのは、何千年もの時を経た乾いた塵の匂いと、微かに残る儀式用の乳香(フランキンセンス)の神秘的な香りだ。

視覚と嗅覚が古代の呪縛に囚われたその瞬間、『Dulcinea』の中東スケールを用いたギターリフが、巨大なアンプから放たれる壁のような重低音と、深いディレイによって空間をねじ曲げるように歪み、炸裂する。 重圧感のある轟音が大回廊の奥底まで反響し、バエクの孤独な戦いを肯定するような圧倒的なカタルシスへと昇華していく。

失われた信仰の残骸と、質量を持つ轟音。 もしあなたが再びエジプトの砂を踏むのなら、ピラミッドの暗闇の中で、ぜひこの音を全身で浴びてほしい。

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