1998年、初期衝動と「Grecoのレスポール」
僕のギター人生の幕開けは、ユニコーンへの憧れだった。『スターな男』や『与える男』を自分の指先で鳴らしてみたい。そんな青臭い衝動に突き動かされ、雑誌”バンドやろうぜ”を仲間と穴が開くほど眺める日々が始まった。
UNICORN / スターな男:最高にかっこいいギターリフからスタートする正にロックンロール。
初めて手にしたのは、通販で買ったGrecoのチェリーサンバースト・レスポール。知識も何もない中での選択だったが、今思えば渋すぎるチョイスだ。
同時に、当時の僕には不釣り合いな高級マルチエフェクター「GT-5」を奮発して購入した。「コピーできない音はない」という多機能さに優越感を抱き、Peavy 5150を模したアンプシミュレーターばかりを呼び出しては、音の隙間を歪みで塗りつぶして満足していた。
Hi-STANDARDとの出会い、崩れ去った優越感
そんな僕の価値観を根底から覆したのは、Hi-STANDARDとの出会いだった。ハイスピードでアグレッシブ、それでいて極めてシンプルなサウンド。
「ハイスタの音はアンプ直結でも再現できる」
そんな噂を耳にしながら、いつものスタジオに向かった。そこにあったのは、当時の僕らが「ダサい」とさえ敬遠していた、無機質なJC-120(ジャズコーラス)。これまで通りGT-5を繋いでみたが、鳴り響いたのは驚くほど薄く、安っぽいサウンドだった。
数万円の高級マルチが、目の前の剥き出しのアンプに完敗した瞬間だった。
Hi-Standard / Fighting Fists,Angry Soul:僕にとっての青春そのもの。何度このMVを見たか。何度も演奏し、その都度元気をもらった。ありがとう!
オレンジ色の小箱と、ドンシャリの時代
僕はGT-5を脇に追いやり、中古の Turbo Distortion (DS-2) を手に入れた。 何でもできるはずのマルチを捨て、中古のコンパクトエフェクター一つで求めていた音が鳴った時の皮肉。結局のところ、僕はアンプを正しく使うことすら知らなかったのだ。
そこからは、DS-2とアンプによる徹底的な「ドンシャリ」が僕の正義になった。オリジナル曲を携え、ライブハウスに繰り出す日々。客席を埋めることは容易ではなかったが、メンバーとの絆だけは深まった。
自分が持ってきた拙いフレーズに、ベースとドラムが全く異なる感性で色を乗せてくる。当初のイメージが「良い意味で裏切られ」、化け物のようなアンサンブルへ進化していくあの感覚。それこそが、僕を音楽の深淵へと引きずり込んだ正体だった。
2005年、SGへの改宗と「和解」
就職と共にライブの喧騒からは遠ざかったが、2005年、僕は Gibson SG を手にする。Jimmy Eat Worldやenvyといった、新たな音楽の扉を開いた時期だった。
Jimmy Eat World / 『Sweetness』:唐突にJimの力強くも美しい声が響き渡り、直後ギター・ベース・ドラムが押し寄せるように追従する。JEWのセンスが詰まった1曲。
envy / ”From here to eternity”:これほど衝撃を受けたアルバムはない。なぜこのような楽曲のデザインが描けたのか、どうやったらこのクオリティの楽曲をこれほどの数作り上げられたのか。現在のenvyとは明らかに違う音質だが、envyのアイデンティティを確実に感じることができる。
手にしたSGは、驚くほど軽やかで鋭かった。 レスポールでは苦労したハイポジションの弾きやすさ、そして高音域の繊細な響き。何より、かつてあれほど忌み嫌っていたJC-120にSGをプラグインした瞬間、僕は言葉を失った。
「このクリーントーンこそが、僕が探し求めていた音だ」
2系統のチャンネル、チャンネルリンク……JC-120が世界中で愛される理由を、この時ようやく肌で理解した。かつてマーシャルへの劣等感に塗れていた自分を、SGのクリスタルな響きが浄化していくようだった。

あの時響いたクリーントーン。そういえば彼らが利用していたのもJC-120だった。
ステージに立てなかった相棒
それから何度か、思い出を語り合うようにメンバーとスタジオに入り、SGを思う存分鳴らした。大人になった僕らは、かつて買えなかった機材を試し、純粋に音を楽しむ贅沢を知った。
けれど、このSGがライブハウスの眩い照明を浴びることは、ついになかった。 せめて、20年経った今。 僕のルーツと、これから綴る「音の情景」の象徴として、このブログにその名を刻みたいと思う。

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