【⚠️ネタバレ注意】 本記事は『アサシンクリード オリジンズ』およびDLC「ファラオの呪い」の物語の核心、および死後の世界の描写に関する重大なネタバレを含みます。未プレイの方は、ぜひご自身の目で見てからお読みください。
冥界ドゥアトと「マアトの天秤」
エジプト神話における冥界、ドゥアト。死者はそこを通り、険しい道のりの先にある桃源郷「アアル(葦の原野)」を目指す。
最後に待ち受けるのは、生前の善行を裁く「マアトの天秤」だ。真理の羽と心臓が均衡すれば楽園への道が開かれるが、罪深い心臓は怪物に喰らわれ、存在そのものが消滅する。


『アサシンクリード オリジンズ』の主人公バエクが、暗殺した対象の血で羽を染める儀式。あれは、彼らがアアルへ辿り着く道を閉ざすという、守護者(メジャイ)としての峻烈な暗示なのだ。
黄金の葦が揺れる、幸福な死者の国
DLC「ファラオの呪い」で訪れることができるアアルは、まさに豊穣の極みだ。
大地を埋め尽くす黄金の葦、そしてネフェルティティの巨大な像。しかし、そこは以前紹介したエリュシオンとは決定的に違う。

エリュシオンを駆ける―ACオデッセイとPray for Sound | SG-Walker.Japan
僕が感じたのは、「時間の流れが止まった、宇宙空間のような異質さ」だ。
そこにあるのは冷たい空気なのか、それとも暖かいのか?……いや、それすら感じない。自分だけが得体の知れない不安に包まれている一方で、住人たちは幸福に満ち溢れている。その強烈な違和感こそが、「死者の楽園」が持つ本質的な色なのだ。
We Lost The Sea『The Gallant Gentleman』:死を内包した旋律
この死の色が濃い情景を、どの音が表現できるだろうか。僕は、We Lost The Seaの『The Gallant Gentleman』こそが最適解だと確信している。
淡々と、しかし優しく音を紡ぐギターの旋律。そこには確かな「死」の気配が潜んでいる。それはドゥアトという過酷な旅の果てに見る、アアルの静謐な景色そのものだ。
何より、深いディレイが織りなす残響の広がりが美しい。終盤、命が燃え尽きる瞬間のようなトレモロピッキングが炸裂する時、聴き手は圧倒的なカタルシスに包まれる。この空間を支配するstrymonの響きは、まさにアサクリの世界を揺るがす秘宝「エデンの果実」のような、抗い難い力を持っている。
南極の悲劇と、父としての願い
この楽曲は、1912年のテラノバ遠征で仲間のために吹雪の中へ消えたローレンス・オーツの悲劇をモチーフにしている。
生ではなく死を見つめたこの音。それは、最愛の息子ケムがアアルに辿り着いたことを信じ、祈り続けるバエクの父としての心象風景と、あまりにも残酷に、そして美しくシンクロする。
ゲームの情景を深化させる「ポストロック」の世界 | SG-Walker.Japan
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