【メイドインアビス】深界六層の絶望と慈愛。The Evpatoria Reportが響く「情景」の記録

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Music × Anime

※一部、ストーリーや登場人物に触れる箇所があるためご注意ください。ただし、物語の核心(ネタバレ)には触れないよう配慮しています。

残酷で無情な世界に響く、光と影の残響

今回は少し趣向を変えて、あるアニメ作品にフォーカスしてみたいと思う。

『メイドインアビス』

神の手によって穿たれたかのような巨大な大穴「アビス」。その底には、誰も知らない未知の世界が広がっている。本作は、この大穴にロマンを抱いた主人公・リコが真実を求めて奈落を降りていき、残酷で容赦のない現実を生々しく描き出す物語だ。

このブログの趣旨は、誰もが体験した「あの光景」を、音を通じて共感すること。
今回もそのスタンスに則り、メイドインアビスの深い世界に響く「音」を提案したい。

深界六層、ヴエコという女性の「祈り」

深界六層。そこは、降り立った者が二度と地上へ生還することのできない「還らずの都」。
この地でかつて「ガンジャ隊」として黄金郷を目指した女性、ヴエコ(ヴエロエルコ)に焦点を当てたい。

ヴエコは、控えめでか細い話し方をする女性だ。

とても人間らしい弱さと強さを併せ持つ彼女が、あるシーンで、つぶやくように語る場面がある。それは、残酷な世界を生き抜く人間の、あまりにもエモーショナルな語りだ。

劇中ではKevin Penkin氏による名曲『Old Stories』が流れ、ヴエコは語りながら目の前の階段を「登って」いく。

彼女の言葉一つ一つには、絶望と後悔、そして希望と慈愛が混在している。一歩一歩踏みしめる足取り、その表情、か細い声。そこには、相反するはずの感情が一つに溶け合っているように僕には聞こえてしまうのだ。

“メイドインアビス 烈日の黄金郷オリジナルサウンドトラック”に『Old Storeis』が収録されている。あの感動をもう一度。

情景に重なる音:The Evpatoria Report / 『Taijin Kyofusho』

このシーンに『Old Stories』が最高にマッチしているのは言うまでもない。
だが、僕にはその語りの奥底にある想いが、もう一つの「音の情景」として鳴り響いて止まないのだ。

  • The Evpatoria Report / 『Taijin Kyofusho』
    この曲から、僕は深界六層の残酷さや嘆き、黒く濁った負の感情を思い描いてしまう。
    しかし、その濁流の中で鳴り響くギターの音色からは、なぜか不思議な優しさや希望を感じる。それはまるで、人間臭い絶望と慈愛を同時に見せてくれる、ヴエコの表情そのもののようだ。
    曲の終盤、まるで世界への絶望を叫ぶかのように刻まれる、ディストーションの効いた激しいトレモロ奏法。その叫びは、ヴエコの心の声なのか、それともアビスという呪いそのものなのか。

慈愛を照らす音:Seas of Years / Lighthouse

だが、『Taijin Kyofusho』の轟音だけでは、彼女のすべてを語ることはできない。 彼女から放たれる言葉の断片は、決して黒く濁ったものだけではないからだ。そこには、確かに「慈愛」が宿っている。

その側面は、また別の音で情景が見えてくる。

  • Seas of Years / 『Lighthouse』
    ヴエコの内面にある温かい想いは、この曲で奏でられる深いリバーブのギターサウンドのように響き、僕らに届く。クリーントーンの中にわずかに含まれる歪みが、彼女が生きた「人間味」を教えてくれる。
    明るい音色の中にどこか寂しさを内包したこの響きこそ、『Taijin Kyofusho』では見えなかった、もう一人の彼女の情景だ。

音と情景が溶け合う場所

僕が敬愛する envyGodspeed You! Black Emperor は、音楽というアプローチで唯一無二の世界を構築している。 対してメイドインアビスは、アニメというアプローチで、緻密な音遣いや背景描写によって唯一無二の世界を作り上げている。

表現の方法は違えど、そこに宿る精神は同じだ。 音と情景はどうしてこうも、僕たちの心を揺さぶるのだろうか。

これまでの音楽 × Gameの紹介はこちら

ゲームの情景を深化させる「ポストロック」の世界 | SG-Walker.Japan

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