※本記事は『ファイナルファンタジー タクティクス』の重大なネタバレを含みます。未プレイの方はご注意ください。
星の運命と、二人の出会い
『ファイナルファンタジー タクティクス(FFT)』。この物語は、名門ベオルブ家の出自でありながら、貴族という「持てる者」と平民という「持たざる者」の過酷な葛藤に直面し、家名を捨てて傭兵として生きる少年、ラムザ・ベオルブの戦いを描く。
欲深き者たちの陰謀と裏切りが日常茶飯事の戦場。そんな泥濘(ぬかるみ)のような世界で、ラムザは一人の女騎士と出会う。王女の護衛に命を懸けるアグリアス・オークス。彼女もまた、信じていた組織や教会の腐敗に翻弄され、過酷な決断を迫られる一人だった。
ゴルゴラルダ処刑場:嘘を打ち砕く「信頼」の咆哮
物語の大きな転換点となるのが「ゴルゴラルダ処刑場」だ。
信じていた教会に裏切られ、窮地に追い込まれるアグリアス。そこでラムザは、自らが陰謀の中心にいるベオルブ家の人間であることを打ち明ける。だが、アグリアスは微塵も揺らがなかった。
「今さら疑うものか!私はおまえを信じる!!」

裏切りと欲望が渦巻く世界で、利害ではなく「それまでの歩み」だけで結ばれた二人の信頼。この瞬間、運命の歯車は「真実」へと向かって激しく回転し始める。
God Is An Astronaut『Zodiac』:不穏を切り裂く疾走感
このシーンの情景に、僕はアイルランドのポストロックバンド、God Is An Astronaut(GIAA)の『Zodiac』を重ねる。
FFTのキーワードである「ゾディアック・ブレイブ」とタイトルがリンクしているのはもちろんだが、その音の構成こそが、この物語の核心を突いている。
序盤の不穏なアルペジオは、腐敗したイヴァリースの空気を思わせる。しかし、そこから一転して刻まれる疾走感のある8ビート。それは迷いを捨て、泥濘の中を真っ直ぐに突き進むラムザとアグリアスの「覚悟」そのものだ。オーケストラではない、このスペイシーで現代的な爆音こそが、彼らの魂の躍動を代弁してくれる。
鈴鳴りの真空管が描く、気高き残響
GIAAのサウンドを支えるのは、空間系エフェクターの名機strymon「BigSky」、そしてギターのトーステンが愛用するアンプ VOX AC30 だ。
VOX特有の「鈴鳴り」と呼ばれる美しい真空管の倍音が、彼らの広大なサウンドに一本の鋭い芯を通している。この透き通るような、それでいて力強い響きこそ、家名を捨てて真実へと突き進むラムザの清廉な決意にふさわしい。
家名を捨て、真実の向こう側へ
以前の記事で触れた『ベイグラントストーリー』と同様、家名や地位を捨てて真実に向かう姿は、ポストロックというジャンルが持つ「ドラマティックな解放」と驚くほど相性が良い。
廃墟に響く孤高の旋律-ベイグラントストーリが描く情景 | SG-Walker.Japan
嘘にまみれた世界で、あなたは何を信じ、どんな音と共に駆け抜けるだろうか。

『Zodiac』の旋律が、あなたの「覚悟」の背中を、強く、優しく押してくれるはずだ。
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ゲームの情景を深化させる「ポストロック」の世界 | SG-Walker.Japan
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