※本記事は『Horizon Zero Dawn』終盤の重大なネタバレ(ガイア・プライムの真実)を含んでいる。未プレイの方は十分に注意してほしい。
広大な自然と機械獣が支配する美しい世界。しかし、その地にはかつて人類が辿った絶望と、未来へ託した祈りが静かに眠っている。 『Horizon Zero Dawn』。このゲームが提示するSF的かつ神秘的なスケールの物語は、プレイヤーの心を深く揺さぶる。
今回は、このゲーム屈指のトラウマであり、最高にドラマティックな名シーン「ガイア・プライム」の悲劇に、スペインのポストロックバンド・Astraliaの『Exhale』という楽曲を重ね合わせてみたい。
ガイア・プライムの悲劇――失われた希望と呼吸
物語の終盤、主人公アーロイはかつての超古代文明の施設「ガイア・プライム」へと足を踏み入れる。そこで明かされるのは、地球の生命システムを再構築するために命を懸けたアルファ・チームの最期だ。

狂気に囚われたテッド・ファロによって、彼らがいた会議室の「酸素が抜かれる(ベントされる)」瞬間のホログラム記録。抵抗することもできず、息を吸うこともできず、次々と倒れていく天才たち。彼らが最後に見た光景と、未来の生命へ託した切なる祈りは、あまりにも残酷で、そして儚く奪われる。 この「呼吸が奪われる」という極限の情景に、ある曲を合わせずにはいられなかった。
Astralia『Exhale』――息を吐き出すような深淵のアンサンブル
スペインが生んだ至高のポストロックバンド、Astralia。彼らのアルバムに収録されている『Exhale(息を吐き出す)』という楽曲こそ、このガイア・プライムの情景に完璧にシンクロする。
以前紹介したRussian Circlesが、ルーパーを駆使して物理的な音圧で攻め立てる「激しい戦場」だとするなら、Astraliaのアプローチは真逆だ。彼らのサウンドの要は、空間系エフェクターの最高峰「strymon」などが生み出す、無限に広がるような深いリバーブの残響音にある。 微かなディレイが絡み合う静謐なイントロから、少しずつ重なり合うギターのアンサンブル。それはまるで、冷たい金属の部屋で最後に吐き出された「白い息」が、空間に溶けていく過程を音で表現しているかのようだ。
情景のシンクロニシティ
アーロイがホログラムを見つめる中、この『Exhale』を再生してみてほしい。 曲の中盤、静寂を破るように一気に押し寄せる轟音の波。それは、アルファ・チームの無念と、それでも未来を信じた彼らの「魂の叫び」そのものとして響くはずだ。 空間を埋め尽くすstrymonの深いリバーブは、密閉されたガイア・プライムの冷たい壁に反響し、時を超えてプレイヤーの心に直接流れ込んでくる。
息を吐き出すこと(Exhale)は、命の終わりであると同時に、新しい生命へのサイクルの始まりでもある。ゲームと音楽がこれほどまでに神話的な繋がりを見せる瞬間は、他になかなか類を見ない。
音と物語の交差点で
圧倒的なスケールで描かれる超古代文明のロマンと悲劇。そして、それを彩る極上のポストロック。 もしこれから『Horizon Zero Dawn』をプレイする、あるいは再びあの世界へ降り立つなら、ぜひAstraliaの『Exhale』をバックグラウンドで流してみてほしい。ゲーム体験が一本の壮大な映画へと昇華されるはずだ。
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