⚠️ 【ネタバレ注意】
本記事は『シャドウハーツ』および『シャドウハーツ2』のエンディングや、ウルと加藤の結末に関する重大なネタバレを含みます。未プレイの方はご注意ください。
今回は、未だ根強い支持を持つ深い悲哀と狂気が交錯するRPG『シャドウハーツ2』を取り上げる。この作品が持つ痛切な世界観と、If These Trees Could Talkの『The Here and Hereafter』という楽曲を重ね合わせて紹介したい。
💡 読者への案内
ここからは、ぜひ下の楽曲を再生しながら読み進めてみてください。ドンレミの森に響き渡るIf These Trees Could Talkの音があの時の悲しみと美しさを思い出させるだろう。
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禁忌と絶望から始まる物語
『シャドウハーツ』シリーズは、第一次世界大戦期の現実世界とダークファンタジーが融合した独特の世界観を持つRPGだ。クトゥルフ神話を思わせるおぞましい怪物や、死者復活という「絶対に触れてはならない禁忌(エミグレの秘術)」が物語の根底に流れている。
今回取り上げる『シャドウハーツ2』は、前作における「ヒロイン喪失」というあまりにも重いバッドエンディングの続きを描いている。
絶望から始まる中、「幸せとは何か?」を追い求めるストーリーは、当時のプレイヤー達を涙させ、今なお心に深く響く作品として絶大な人気を博しているのだ。
ウルと加藤――交わることのない「同じ痛み」
本作の主人公ウルと、最終的に立ちふさがる敵・加藤政伸。この二人は、戦線を共にした戦友であり、友人であり、そして敵である。
前作において、ウルは愛するヒロインであるアリスを、加藤は絶対の忠誠と愛を捧げた川島中佐を、それぞれ自分自身の無力さゆえに理不尽に喪っている。二人は「一番大切な人を喪った」という、全く同じ痛みを抱えているのだ。
しかし、その悲しみへの向き合い方が彼らを分かち、激突させる。
ウルはどれほど苦しくても、アリスが命を懸けて守ったこの「現世(Here)」で、運命を受け入れて生き抜くことを選んだ。対する加藤は、二度の絶望に打ちひしがれ、世界を無に帰して「来世や過去(Hereafter)」へと歴史を書き換えることで彼女を取り戻そうとした。
彼らの戦いは、単純な正義と悪の衝突ではない。「やめて欲しくば止めにこい」という言葉にならない信頼と、お互いを理解しつつも決して交わることのない慟哭のぶつかり合いなのだ。
言葉を持たない木々が見守る『The Here and Hereafter』
この二人の果てしない悲しみに寄り添う音楽として、If These Trees Could Talkの『The Here and Hereafter(現世と来世)』という楽曲を挙げたい。
アリスをスイスのチューリッヒに埋葬した直後、行き着いたドンレミの村の古びた教会に「悪魔」として隠れ住んでいたウル。この曲の冷たく美しい響きは、誰もいない教会の冷たい石畳と、そこにうずくまるウルの空っぽになった心をそのまま音にしたかのようだ。
曲名が示す「現世(Here)」と「来世(Hereafter)」。これは神殺しの力を持つウルでさえ絶対に越えることができない「生と死の境界線」であり、加藤が世界を壊してでも到達しようとした場所でもある。
言葉を持たない木々(If These Trees Could Talk)が、彼らの不器用な生き様をただ静かに見守っているような、そんな悲しい情景が浮かび上がってくる。
カタルシスの不在と、終わらない静寂
インストゥルメンタル・ポストロックバンドである彼らのこの楽曲は、わずか2分半ほどの短い曲だ。そして最大の特筆すべき点は、ポストロックの代名詞とも言える「ディストーションによる轟音の爆発」が、この曲には最後まで訪れないということにある。
僕がこの曲から感じたのは、アナログのテープエコーのような、特有の揺らぎや滲みのある音の響きだ。これが第1次世界大戦期のドンレミ村の景色と、ウルの色褪せていく記憶への執着を見事に表現している。おそらく本物のアナログテープエコーではなく、BOSSの『Digital Delay DD-20 Giga Delay』あたりを利用してその揺らぎを緻密にシミュレートしているのだろう。哀愁と虚しさが森に響き渡るような音響で、非常に素晴らしい。
↓BOSSの『Digital Delay DD-20 Giga Delay』。
そして、音が爆発しないということは、感情の解放(カタルシス)がないということだ。ウルにも加藤にも、失った悲しみが晴れる瞬間は永遠に訪れない。行き場のない喪失感が、ドンレミの雪のようにただ静かに、冷たく心に降り積もっていく。
その「カタルシスの不在」こそがこの楽曲が持つ最大の美しさであり、二人の男が抱える終わらない静寂を見事に表現しているのだ。
激しい轟音だけが感情のすべてではない。内に秘めた永遠の悲哀を感じたい時、ぜひこの冷たい音色に耳を傾けてみてほしい。
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