【GRIS】悲しみの廃墟に色彩を灯す。Collapse Under the Empire『Dark Water』が描く「受容」の音の壁

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【GRIS】悲しみの廃墟に色彩を灯す。Collapse Under the Empire『Dark Water』が描く「受容」の音の壁 Music × Game

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⚠️ 【微ネタバレ注意】
本記事では『GRIS』の根幹となるテーマ(心理学における悲しみの5段階)や、物語の進行に伴う世界の変化について触れています。決定的なストーリーのネタバレはありませんが、世界観の解釈を含みますのでご留意の上お読みください。

悲しみの5段階と、内面世界の美しき廃墟

言葉を一切使わず、ただ「色」と「音楽」だけでプレイヤーの心を激しく揺さぶるゲームがある。それが『GRIS』だ。

本作は、心理学における「悲しみの5段階(否認・怒り・取引・抑うつ・受容)」に基づき、5つのステージと色彩で構成されている。

主人公の少女が自らの内面世界を歩みながら、失われた色と、そして自らの「声」を取り戻していく物語だ。ゲーム音楽を担当したberlinistによるアンビエントなサウンドも秀逸で、この芸術的な世界観を完璧に形作っている。

僕が特に惹かれるのは、この内面世界が「崩壊しかけた遺跡」として描かれている点だ。

ディストピア感と廃墟の美しさが同居するその情景は、最高にエモーショナルである。そして、悲しみの5段階の終着点は、決して劇的なカタルシスではなく「静かな受容」だ。この『GRIS』が描く、悲しみを受け入れて自らを解放していくプロセスに、僕は一つのポストロックの楽曲を重ねてみたい。

『Dark Water』が鳴らす、否認から解放へのグラデーション

ドイツ出身の2人組、Collapse Under the Empire。シンセサイザーを多用したエレクトロニックなポストロックを展開する彼らの楽曲の中から、今回は『Dark Water』を提案したい。

この曲には、良い意味で古臭い、ベースの効いたアナログシンセが使われている。その重く温かみのある音作りは、『GRIS』のディストピア的な廃墟の情景と恐ろしいほどにマッチするのだ。

非常に興味深いのは、その曲の構成である。

『Dark Water』というタイトルや序盤の重苦しい雰囲気は、まるで悲しみの第1段階である「否認」や、色のない世界を連想させる。しかし、曲が進むにつれて印象は大きく変わり、深い悲しみからの「解放」を感じさせる展開へと向かっていく。

後半にかけて幾重にも音が重なり、ポストロック王道の巨大な「音の壁」が築かれていくその情景。それはまさに、主人公が少しずつ声を取り戻し、崩壊した世界に色鮮やかな色彩が満ちていくプロセスそのものなのだ。

GRISは水彩画のようなテイストで美しく描かれる。その水彩画テイストはディストピア感と絶妙にマッチする。
GRISは水彩画のようなテイストで美しく描かれる。その水彩画テイストはディストピア感と絶妙にマッチする。

音の壁をほどき、色彩を空間に満たす「Sennheiser HD 599」

この『Dark Water』の後半に訪れる巨大な音の壁と、アンビエントな空間の広がりを体験するために、最適な機材を紹介したい。当ブログの絶対的定番である開放型ヘッドホン、「Sennheiser HD 599」だ。

ポストロックのような空間表現を重視する音楽において、開放型は一つの最適解である。しかし、このHD 599を特におすすめする理由は、Sennheiser独自の「E.A.R.テクノロジー(傾き設計)」と、インピーダンス50Ωという直挿しでも鳴らし切れる圧倒的なポテンシャルにある。

『Dark Water』の終盤、多くの音が重なり合うと、一般的なヘッドホンやパワー不足の環境では音がダマになって潰れてしまう。しかしこのヘッドホンは、アンプ不要で分厚いアナログシンセの温もりを力強く鳴らしつつ、音が耳元に張り付かず自然に抜けていくため、巨大な音の壁がダマになることなく空間全体へと色鮮やかに広がっていくのである。

圧倒的な音の壁が、決して息苦しいものではなく「色鮮やかな色彩」となって空間を満たす快感。HD 599で聴く『Dark Water』は、悲しみが受容へと変わる瞬間の美しさを、極上の没入感で描き出してくれるはずだ。

おわりに

悲しみは、完全に消し去ることはできないかもしれない。けれど、それを受け入れた時、廃墟のようだった世界には再び美しい色が灯る。

『GRIS』の静かな旅路を終えた後、ぜひCollapse Under the Empireの『Dark Water』に耳を傾けてみてほしい。

まさにCollapse Under the Empireの『Dark Water』のような状況になっている。
まさにCollapse Under the Empireの『Dark Water』のような状況になっている。

アナログシンセの温もりと重厚な音の壁が、声を取り戻した少女の情景と重なり、あなたに静かで確かな「受容」をもたらしてくれるだろう。

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