紀元前431年のギリシア。ペロポネソス戦争の裏で暗躍する結社と、かつて世界を支配した「イス」と呼ばれる超古代文明の遺物。『アサシン クリード オデッセイ』は、歴史の影に潜む神話の真実を、圧倒的なスケールでプレイヤーに体験させる。
中でも、クレタ島に位置する「クノッソス宮殿」の荒廃した不思議な遺跡とその地下迷宮へと足を踏み入れた際の、あの得体の知れない圧迫感と畏怖。1000年以上前のミノア文明の残り香と、そこに巣食う「ミノタウロス」の伝説がプレイヤーの歩みを重くする。
この歴史のロマンと恐怖が入り混じる迷宮探索にこそ、アメリカのポストロックバンド・Caspianの楽曲『Ishmael』を強く推奨したい。
口伝という名のチェロ――ジョー・クエイルが語る叙事詩
Caspianの『Ishmael』は、イギリスのチェリストであるジョー・クエイルをフィーチャーした特異な楽曲だ。
楽曲の序盤、エレクトリック・チェロの旋律が静かに、しかし確かな意思を持って響き渡る。それはまるで、遠い昔の出来事を淡々と語り継ぐ「口伝の叙事詩」のようだ。終末的でありながら美しく、かつてクノッソス宮殿で華やかに行われていた「牛跳び」のフレスコ画の情景を、音として脳内に描き出していく。

しかし、歴史は時として歪む。口伝という不確かな伝承は、長い年月を経て人々の恐怖や想像と混ざり合い、全く別の怪物へと姿を変えていくのだ。
歴史がディストーションに呑まれる時
『Ishmael』の中盤、物語を紡いでいたチェロの音色に、突如として深いディストーション(歪み)が加わり始める。この音の変化こそが、本記事の最大のハイライトである。
澄んでいた伝承の音が、暴力的な歪みによって分厚く、禍々しい轟音へと変貌していく過程。それはまさに、ミノア文明の単なる「牛跳びの儀式」が、1000年の時を経て恐ろしい「ミノタウロスの伝説」へと歪曲されていった歴史の不気味さそのものだ。
『アサシン クリード オデッセイ』において、イスのアーティファクトが人間の精神と肉体を歪め、神話の怪物を生み出したというSF的解釈。その恐るべき真実と、Caspianが鳴らすディストーションの轟音は、クノッソス宮殿の最深部で完璧なシンクロニシティを見せる。
変幻自在の音を生み出す「GT-1000」の魔法
この『Ishmael』において、チェロの音色に劇的な変化をもたらしている機材がある。BOSSの最高峰マルチエフェクター「GT-1000」だ。
かつてのマルチエフェクターといえば、「広く浅く」という器用貧乏なイメージが強かったかもしれない。しかし、現在のGT-1000が備える圧倒的な演算能力と解像度は、エレクトリック・チェロの繊細な響きを損なうことなく、凶悪なディストーションから深淵なるリバーブまでをシームレスに行き来させる。
単なるギター用機材という枠を越え、情景を激変させる「ポストロックを表現するための最高のツール」として機能しているのだ。
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轟音の迷宮へダイブせよ
歴史の真実が口伝によって歪み、神話という名の呪いへと変わる恐怖。
もしあなたがクレタ島の土を踏み、クノッソス宮殿の暗い地下迷宮へと降りていくなら、ぜひヘッドホンでCaspianの『Ishmael』を流してみてほしい。
チェロの歪みが極限に達した時、暗闇の奥から聞こえてくる「奴」の足音が、より一層生々しくあなたの脳髄を揺らすはずだ。
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