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⚠️ 【重大なネタバレ注意】
本記事は『Bloodborne(ブラッドボーン)』における医療教会の背景(ウィーレムとローレンスの過去)や、教区長エミーリアの戦闘に関する重大なネタバレを含みます。未プレイの狩人様は絶対にご留意の上、お読みください。
医療教会の嘘と、教区長エミーリアが背負う重責
圧倒的なゴシックホラーの世界観と、クトゥルフ神話を彷彿とさせる底知れぬ恐怖で、今なお世界中のゲーマーを魅了し続ける『Bloodborne』。
今回は、聖堂街の奥深くに座す「教区長エミーリア」が抱える重責と、見え隠れする苦悩の情景にフォーカスし、そこにフランスのポストロックバンド、Silent Whale Becomes A Dreamの楽曲を重ねてみたい。
エミーリアについて語るには、まず「医療教会」の成り立ちに触れる必要がある。
医療教会は、ビルゲンワースの総長ウィーレムの弟子であるローレンスが初代教区長となり設立した組織だ。彼らは神の聖体の血を利用した「血の医療」を追求したが、ウィーレムは早くからその血の危険性に気づいていた。しかし、ローレンスは恩師の忠告に聞く耳を持たなかったのだ。
やがて血の医療の代償として、ヤーナムの街には「獣の病」が蔓延し始める。しかし医療教会は自らの非を認めることなく、重い真実を隠蔽したまま時は流れた。
エミーリアは、そんな獣の病がヤーナムを完全に覆い尽くした絶望的な時代の教区長なのである。
自己暗示の祈りと、金のペンダント
狩人が大聖堂の扉を開けた時、エミーリアは祭壇の前に跪き、一心不乱に祈りを捧げている。

Seek the old blood.
Let us pray.
Let us wish to partake in communion
Let us partake in communion, and feast upon the old blood.
Our thirst for blood satiates us, soothes our fears.Seek the old blood.
But beware the frailty of men.
Their wills are weak, minds young.
The foul beasts will dangle nectar and lure the meek into the depths.
Remain wary of the frailty of men.
果たして、これは神聖な「祈り」なのだろうか。
「血を求めよ。しかし人の心は弱い」。その言葉は、獣の病を発症していく人々を目の当たりにし、医療教会への疑惑が限界に達しそうになっている彼女自身の「自己暗示」のように聞こえてならない。
彼女が両手で固く握りしめている「金のペンダント」は、彼女がこれまで信じてきた医療教会の全てだ。かろうじて祈りの言葉を紡ぐことで、彼女は正気を保とうと必死に耐えていたのだろう。
しかし、その願いも虚しく、彼女の身体は無情にも恐ろしい獣へと変貌を遂げてしまう。獣化した後もなお、彼女は左手に金のペンダントを握りしめたまま、悲しき咆哮を上げて狩人の前に立ち塞がるのだ。

『Dies Iræ, Dies Illa』が描く「怒りの日」と音の壁
このエミーリアの溢れそうな信仰心と疑惑、そして無情な獣化の情景を完璧に映し出すのが、Silent Whale Becomes A Dreamの『Dies Iræ, Dies Illa』という楽曲だ。
彼らは2004年から活動しているフランスのポストロックバンドだが、リリースしているフルアルバムはたった2枚しかない。にも関わらず、世界中でカルト的な人気を博しており、その音の存在感は圧倒的だ。
今回紹介する『Dies Iræ, Dies Illa』は、アルバム『Requiem』に収録されている17分にも及ぶ壮大な大作である。
曲名である「Dies Iræ, Dies Illa」は、ラテン語で「怒りの日、その日」を意味する。これはカトリックの死者のためのミサ(レクイエム)で歌われる有名な聖歌のタイトルであり、「世界が終わる日、人々が裁きを受ける日」を表している。まさに、医療教会の嘘と罪をすべて背負わされる形になったエミーリアの運命にこれ以上なく相応しい。
チェロのようなストリングスとギターが不穏なメロディを奏で、やがてドラムが加わり、ポストロック特有の巨大な「音の壁」が築き上げられる。深くリバーブがかけられた冷たい石造りの壁のようなその音は、エミーリアの内なる信仰そのものだ。しかし、その壁にはすでに決定的な「亀裂」が入っている。
中盤から後半にかけて、若干エスニックな音階が混ざり合い、曲調は深い混沌へと沈んでいく。突き放されたような無情なサウンドは、最終的に圧倒的な「ノイズ」へと変貌する。
それはまさに、獣の病が蔓延したヤーナムの街と、崩壊していく医療教会の断末魔そのものである。
大聖堂の混沌を直挿しで耳元に召喚する「Sennheiser HD 599」
この17分間の圧倒的な情景――チェロの擦れ、深く冷たい石造りのリバーブ、そして混沌を感じる強烈なノイズ――。これを「ただのうるさい音」にせず、ヤーナムの大聖堂で鳴り響く芸術として体験するためには、当ブログの絶対的定番である開放型ヘッドホン「Sennheiser HD 599」が最適解だ。
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おわりに
医療教会の身勝手な嘘によって生み出された獣の病と、すべてを背負わされて獣へと堕ちた教区長エミーリア。
彼女との死闘を終え、金のペンダントを手にした後は、ぜひSilent Whale Becomes A Dreamの『Dies Iræ, Dies Illa』に身を委ねてみてほしい。
17分間に及ぶ冷たく美しい轟音と混沌のノイズが、ヤーナムの悲劇とエミーリアの祈りを、決して忘れることのできない情景としてあなたの心に刻み込んでくれるはずだ。
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