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本記事では『Detroit: Become Human』カーラ編の特定エンディングについて触れています。未クリアの方はご注意ください。
「カナダへようこそ。」

たった一言である。
それなのに、この言葉を聞いただけで胸がいっぱいになった人は、きっと少なくないだろう。
『Detroit: Become Human』という作品には、数え切れないほど印象的な場面がある。
アンドロイドが自らの意思に目覚める瞬間。
人間とアンドロイドが対立する社会。
そして、それぞれが選択した未来。
その中でも、僕が今でも忘れられない情景がある。
カーラ、アリス、そしてルーサー。
三人がようやく辿り着いたカナダ国境で交わされる、ほんの一言である。
「カナダへようこそ。」
この言葉は、単なる入国を許可するための案内ではない。
命からがら逃れ続けてきた三人が、ようやく**「ここで生きてもいい」**と認められた瞬間でもある。
今回紹介するのは、そんな静かな奇跡を思い出させてくれる一曲。
April Rain の『I’m All Crying Inside』である。
この曲を聴いていると、僕の頭に浮かぶのは戦いや追跡劇ではない。
長い逃避行の果てに訪れた、たった一言の優しさ。
そして、その一言によって初めて「家族」として未来へ歩き始める三人の姿なのである。

あの入国審査官、めっちゃイイところ持っていくよね!アタシ、あの瞬間はホント感動しちゃったし!救われたぁ・・・って思いであふれるよね!
長い逃避行の果てに

カーラ、アリス、そしてルーサー。
三人は、ただカナダを目指して歩いていたわけではない。
人間に追われ、何度も命の危険にさらされながら、それでも諦めずに歩き続けた先にあったのが、カナダ国境である。
その道のりは決して穏やかなものではなかった。
振り返れば、いつ追手が現れるか分からない。
目の前にいる人が味方なのか、それとも敵なのかも分からない。
それでもカーラは、アリスを守るために前へ進み続けた。
その姿は、僕には「アンドロイド」とは思えなかった。

あそこ、改めて見るとすごく苦しかった。ルーサーって自分の命より、二人が生きることを願ってるんだもん。

ただ、大切な家族を守ろうとする、一人の母親の姿だったのである。
そして、ようやく辿り着いた国境。
そこには、いつもと変わらない国境の光景が広がっていた。
入国審査は、何事もないかのように淡々と進められていく。
列に並ぶ人々にとって、それは日常の一場面に過ぎない。
けれど、カーラたちにとっては違う。
この一歩が未来を決める。
この数分が、生きられるかどうかを決める。
ひりついていたのは、きっとカーラたちだけだった。
そしてカーラは、震える声で審査官へ訴える。

「お願い。自由になりたいの。」
その願いは、自分一人のためではない。
アリスとルーサーと共に、当たり前の日々を生きたい。
ただ、それだけなのである。

あれだけ考えて、結局カーラって策がなかったんだよね。だからこそ絞り出した「自由になりたいの」って言葉はホントに涙が出ちゃう。それを見た入国審査官がさぁ、手を止めて、ふっとテレビのモニターを見上げて、そのあと笑顔になるんだよ!あの笑顔はズルいし!ホントに涙が止まんないし!なんていい話なの!?って思っちゃう!あの瞬間、アンドロイドみたいな機械処理をしていた入国審査官がホントに心の通った人間に戻った優しい笑顔なの!・・・あ、アタシしゃべりすぎた?
音楽が描く、新しい人生の鼓動
あの国境の情景を思い浮かべるたびに、僕は April Rain の『I’m All Crying Inside』を再生する。
激しく感情をぶつけるような曲ではない。
静かに寄り添いながら、少しずつ心の奥へ入り込んでくる一曲である。
短音のギターの旋律は、まるでカーラたちの歩みを見守るように流れ、音が重なるたびに、張り詰めていた時間が少しずつほどけていく。
そして、この曲の終盤。
僕が何度聴いても心を動かされる瞬間がある。
それは、鼓動のように響くリズムである。
初めてこの音を聴いたとき、僕の頭に浮かんだのはカーラでも、アリスでも、ルーサーでもなかった。
三人が共に歩き始める、その未来だった。
国境を越えた瞬間、彼らは急に何かが変わったわけではない。
身体が変わるわけでも、世界が変わるわけでもない。
それでも、「カナダへようこそ。」という一言を境に、確かに何かが変わった。
僕には、この鼓動がそんな未来を奏でているように聴こえるのである。
人間になったから鼓動が生まれたのではない。
誰かに人として受け入れられた、その瞬間に初めて聴こえてきた鼓動。
だからこの曲は、僕にとってカーラたちの逃避行を描いた音楽ではない。
一つの家族が、新しい人生を歩き始める瞬間を描いた音楽なのである。
情景の香り
国境を越えたあと、三人はどんな空気を吸ったのだろう。
そんなことを考えていたとき、僕の頭に浮かんだのは Fir Needle(シベリアモミ) の香りだった。
森林浴を思わせる澄んだ木々の香り。
冬の冷たい空気の中でも、どこか優しさを感じさせる深い緑の香りである。
この香りを部屋に漂わせながら『I’m All Crying Inside』を流していると、不思議とあの国境の情景がゆっくりと浮かび上がってくる。
カーラたちが初めて恐怖ではなく、未来へ向かって息を吸い込む瞬間。
その空気は、自由の匂いだったのかもしれない。
そして、その一呼吸は決して特別なものではない。
人間なら誰もが当たり前にできること。
だからこそ、その”当たり前”をようやく手に入れた三人を思うと、この香りはどこか温かく感じられるのである。

デトロイトの世界はもうそろそろクリスマスなんだよね。アリスにとってはクリスマスが来るたび、シベリアモミの香りを嗅ぐたび、あの時の記憶として残るんだろうね。
おわりに
ゲームをクリアしたあとも、心に残り続ける情景がある。
それは壮大な戦いでも、劇的な演出でもない。
たった一人の審査官が、いつもと変わらない口調で告げた一言である。
「カナダへようこそ。」
カーラたちにとって、その言葉は入国を許可するための言葉ではなかった。
「ここで生きてもいい。」
そう認められた瞬間だったのだと思う。
だから僕は今でも、この情景を思い出すたびに『I’m All Crying Inside』を再生してしまう。
短音を刻むギターの旋律が流れ始めると、あの日の国境がゆっくりと目の前に広がっていく。
そして曲の最後に響く鼓動を聴くたび、僕は三人が新しい人生を歩き始めた、その続きを想像してしまうのである。
もし『Detroit: Become Human』をクリアしたあと、もう一度あの国境を思い出したくなったなら。
ぜひこの一曲と、Fir Needle の香りを用意して、あの情景へ帰ってみてほしい。
きっとあの日とは少し違う景色が、そこには待っているはずである。


「よかったね。」っていう気持ちもあるんだけど、それ以上に「ここから人として普通の毎日が始まるんだ。」って思っちゃった。
あの鼓動を、もっと近くで感じるために。
『I’m All Crying Inside』を聴いていると、楽器の一音一音がとても丁寧に積み重ねられていることに気づく。
冒頭で静かに刻まれる短音のギター。
少しずつ重なっていく音。
そして、終盤で鼓動のように響くリズム。
その変化を自然な空気感のまま味わわせてくれるのが、僕が愛用している SENNHEISER HD599 である。
HD599は派手に音を演出するタイプではない。
だからこそ、この曲が持つ繊細な空気や、静かな感情の揺らぎをそのまま届けてくれる。
広い音場で、国境に流れる静かな空気を感じる
HD599は音場が広く、一つひとつの音が自然な距離感で広がる。
そのため、カーラたちが立つ冬の国境の静けさや張り詰めた空気まで、情景として感じ取りやすい。
自然な音で、楽器本来の響きを味わえる
味付けの少ない素直な音だからこそ、短音を刻むギターや、終盤へ向かって少しずつ積み重なっていく演奏を自然なまま楽しめる。
派手さではなく、作品が本来持つ空気を大切にしたい人には、とても相性の良いヘッドホンである。
長時間でも疲れにくく、情景へ没入できる
軽い装着感と柔らかなイヤーパッドのおかげで、長時間音楽を聴いていても疲れにくい。
ゲームを思い返しながら一曲を最後まで聴き終えたあと、そのまま余韻に浸っていたくなる。
そんな時間を自然に支えてくれる一台である。
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